深度 、急速潜行~
[Life as a Half Drow]Trainability for Game Masters
▼ま、忙しいからできない、というのは、ほかのことに関してならともかく、趣味については「原則的には」云ってはならないコトだとは思いますが、GM 訓練は事実上ムリっていうのは確かにその通りでありますな。
 現在うちのサークルでは月 2 のペースでセッションしてますが、毎回参加するスケジュール調整も容易ではないですし、マスターやるとなりゃ「準備期間」も必要なわけで、すでに自分なりにはマスターをやることに慣れてるつもりの身でも、月 2 でシナリオ準備するのはかなり不可能です。まして訓練段階とあっては。
 実践によってマスター経験値を稼ぐというやり方は、すでにそれによってそれなりにマスターに慣れた人々は自分にとっての成功したコースであるから他人にもすすめたくなりがちですが、たとえばわたしなんかの場合は中学時代に毎日のように遊んでた時期に稼いだ経験値が大きな比率を占めているわけで、みんな大人になった今、そんな稼ぎ方を仲間にすすめたってそりゃあ非現実的ですわな。で、そんなプレイ回数の中でもわたしなどはマスターを担当した回数の比率が多く、云い換えれば他の参加者がマスター経験値を稼ぐ機会を奪って自分の経験値を稼いだとも云えるっちゃ云えるわけです。
 うーん。
 まぁ、幼い頃に楽器を習った経験からいくと、幼少時から訓練すると、当初の訓練効率は上がらない(練習量に比して技術の向上は遅い)けど、身についた技術はよりしっかり定着する(ので、後々の応用性に優れ、予想外の事態などに対する対応能力も上がり、長いブランクの後でも少々の「リハビリ」で技量が回復する)のに対し、ある程度トシいってから訓練したことは、頭で理論やなにやらを理解してから学ぶので当初の訓練効率は高くなるが、応用性や予想外の事態での対応能力やブランク後の技量回復(および最終的に到達し得る「高み」の高さ)には劣る、というのが、まぁたいていの技能(TRPG のマスタリングを含む)についても該当するのではないかと思います。幼い頃から習うのは「体で覚える」過程で、トシ食ってからは「頭で理解して覚える」過程である、とか、そんなふうな。
 とすれば、TRPG についても、「少ない努力で効率よく楽しむ方法を探そう」はまったく正しい考え方なんじゃあるまいか。
 我々、幼い頃から体で覚えてきた側の民は、そんなやり方は邪道だ的に感じがちですし、そんなやり方で身につくもんか、とか思ってしまいますし、体で覚えてしまったことをいまさら頭で効率よく学ぶコツなんて考えたところで休むに似がちなわけで、なかなか認め難いことだったりもしますが。
 実践的には、たとえば論考を読んで理論を学んだりするのは正しいことでしょう。
 また、これは経験が長いマスターでも同様ですが、他人のマスタリングからも多くのことを学べるはずです。一度もマスター経験のない人が、いちどマスターを経験すれば、その後プレイヤーとして参加するセッションからは、それまでにプレイヤーとして参加したセッションで得たのとは比較にならないぐらいのマスター経験値を得られるでしょうし、そうしたプレイヤーとして参加するセッションで多くの経験値を得たなら、次にマスターをしたときに得られるマスター経験値もまた、単に二度マスターをやった場合とは比にならない濃さになることでしょう。
 「マスターであること」を実感として想像できる程度の経験が下敷きにあれば、プレイヤーとして参加する八割のセッションでもマスター経験値は得られるはずなのです。
 ……ま、なんだ。自分で云ってて、「幼稚園からピアノをやってるヤツが、大学に入ってはじめてピアノに触れた友人に「まぁがんばれ」とか云ってる」みたいな無責任さを感じないでもないですが。
 いまさら中学生に戻って毎日遊ぶわけにはいかないわけですしねぇ。
 で、これは「それ云っちゃあシマイ」なコトかもですが、TRPG 遊ぶ人間の「全員がマスターとしての訓練を積むことは現実的に不可能」とかいう話をする以前に、それ、そもそも必要なのか? って疑問もありますわな。
 こちらの、
 6人組が月イチでセッションを遊んでるとする(年12回)。で、GMを公平に分担すると、一人がGMやるのは年2回だ。
 という計算からいくと、「たかだか年に 2 回しかマスターしないヤツを育てるために、そいつの訓練量を充分に確保してやる必要は果たしてあるのか?」という話に……なるよなぁ……ふつうは……。
 わたしは、TRPG をやる誰もがマスターを経験し、またある程度は担当するべきだと思いますが、誰もがそのサークルのエースマスターになれるほどの経験を積まねばならないとまでは思いません。っていうかムリだし、そんだけのエース級マスターがそれだけ揃うのなら、その連中の能力を年数回しか活用できないというのがもったいないだろうよ。
 年に二度、は月 1、6 人で平均した場合の値です。がまぁ、月 2 でセッションするサークルだと仮定して、年 24 回のうち三分の二はエースと準エースのマスターがマスタリングするぐらいだと考えれば、残りの連中が(6 人のサークルとして)マスターやる機会はひとりあたり年に 2 回ってとこ――同じか。まぁ、そのくらいになるとして。
 そのくらいの回数を遊ぶのに、エース級と同等のマスタリング経験値が必要かというとどうなのよ?
 わたしは、必要ないと思います。
 エース級のマスターは毎回のセッションをある程度の水準以上の満足をもたらすモノとしてマスタリングしなければならない(と少なくとも本人は考えているべき)ですが、たまに「おおー、今度はあいつがマスターか。なに、半年振り? そいつは楽しみだ」ってなマスターに求められるのはそういうのじゃないよねぇ?
 云い方はアレですが、そういう、その人がマスターやるコト自体がお祭り性を帯びるようなセッションであれば、「成功だろうが失敗だろうが成功といえる」んじゃあるまいか。
 手抜きをしたらさすがにアウトだと思います。でも、ワンセッションの仕込み、心の準備、気合の充填に半年もかければ、(少なくともマスターやれという提案を了承する程度にはヤル気があったのなら)どうしようもない失敗になんてそうそうなるモンじゃないと思うんだけどなぁ。
 ……なんだかあれですな。ネトゲの話題とかでいつも云ってる、「レベル上げゲームにおいてレベルを上げなければできないコトはさらなるレベル上げだけである。さらなるレベル上げをやりたい者のみがその下積みとしてのレベル上げをすればよろしい。そうでない者すなわちさらなるレベル上げをやりたいわけではない者は、その下積みとしてのレベル上げをする義務はない」に似てきたな。
 「TRPG において GM スキルを上げなければできないコトはさらなる GM だけである。さらなる GM をやりたい者*1 のみがその下積みとしての GM 訓練をすればよろしい。そうでない者すなわちさらなる GM をやりたいわけではない者は、その下積みとしての GM スキル上げをする義務はない」
 あまりに腕のなさすぎる GM だとさすがにキツい事態にもなるかもしれませんが……誰にだって初めてはあるんだし、それは許容しましょうよ、ってなところで。
 あとはまぁ、初心者に向いたルールとそうでないルールはやっぱりあるんじゃないかとも思いますが。
 主観ですけど。
 やっぱりマスター経験全般の足りない人は、(プレイヤーとして経験がやたら深いとか、その世界観や原作がとても好きで、「マスターとしては初心者でもその作品世界については深いぜ!」とかでもなければ)たとえばクトゥルフの呼び声みたいなものを仕切るのは難しいんじゃないでしょうか。
 逆に Dungeons and Dragons 3rd*2 などは初心者向きだとわたしは思います。ルールが煩雑で大変だと思われがちですが、ルールが堅いことは、裏を返せば「ルールが守ってくれる」ということでもあります。ルール通りにやってさえいればそうそう妙な事態には陥らずに済むのです。まわりも初心者だとさすがに厳しいかもですが、まわりにはすでにサークルのエースクラスマスターがプレイヤーとして参加していたり、プレイヤーとしては経験を積んだメンバーが集っているのであれば、ルールについてはかれらを頼ってしまえばよろしい。で、必要に応じて「だってルールにそう書いてあるもん」と「んー、ルールはそうだったのかー。んじゃまぁ、すまんけど今回は見逃してくれ。オレ初心者だし。今回は特別にコウナリマス」を使い分ける、と(とか、そういうことを臆面もなく口走れるようになることもまたマスターとしての上達の一側面という気もしなくもないですけど……まぁ 1 セッションに 1~2 度ていどなら許されると思います)
 ……最後は自分の好きなルールの宣伝になっちまいましたが、
1)幼い頃から体で覚えるのと、トシ食ってから自覚的に学ぶのとでやり方が異なるのは自然。
2)必ずしもサークルのメンバー全員がサークルのエース級マスターを目指す必要はないはず。
 あたりがコンクルージョンちゅコトで。
 あと、うちのサークルでは昔はだいたいワンセッション 3~4 時間で一日 2 セッションをタンデムにこなす*3 ことでマスターやる人数を増やしてたりもしました。そういうテもまぁ、あるにはありますが……時間を、とくに短めにコントロールするってのは一番経験値が必要な芸当だという気もしなくもなかったり。ううむ。

*1 サークルのマスター人数の問題などで義務になる場合とかももちろんあるでしょうが、それはまぁソレで。
*2 3.5 版も含む。まぁ今回の議論ではサードとしてひとくくりで。
*3 で、ときどきお祭り的に、その日の前半と後半を続き物にして、マスターが交代する、などというネタを仕込んだりもしました。ああいうのも楽しかったよなぁ。
2006/03/29 (Wed)
青石消尽 * Top * 060330
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