深度 、急速潜行~
[日々のいとまに]141209 ~ピルグリム~
▼ハヤカワの、テリー・ヘイズ「ピルグリム」3 冊読了。電書で。
 本屋で目にし、ちょっと面白そう? と思って、帰って kindle で検索して購入、という……本屋にはまこと申し訳ない所業を働いてしまいました。家賃が高いのが……悪いんじゃよ……。問題はすべて不動産屋に帰せられるんじゃよ……。
 えー、実際 3 冊一気読みであり、やめられないとまらない素晴らしい面白さでありました。が、同時に、もすぬごい勢いでツッ込みが沸いてくるアレでもあり……。いや、うん、面白かった、というほうを感想の主文にしておく、ぜ! 3 冊のうち、最初の 1 冊は「おいおいおいおい」てな感触が正直勝ってましたが、最後とかは、読み終わるまでは「ヤベェすげぇ面白ぇ!」というほうが圧倒的に勝ってたからなー。大満足で読み終わったら、また「あれ……?」というのもなくはなかったですが。
 ってことで、続編も当然のごとく出る気満々(自動詞?)のようなので、こちらも当然のごとく読む気満々で。
 以下、水面下にネタバレ込みで。
 やー実際、最初のあたりはツッ込みどころ満載というか、「いやいやいやいやいや」というような話の連続ではありました。冒頭からすごくてな……。
 一例が以下。
 わたしは、ここにいた人間がビールの六缶セットを書き物机に放置しておいて、牛乳を冷蔵庫に入れていた点を指摘した。「そんなことをする男がいるか? たいがいの男はビールのほうを冷やして、牛乳を腐らせるだろう」
 あーほーかー! 以外のコメントが考えつかないと思うのですがいかがでしょうか。わざわざ「牛乳を買ってきた」のなら、男だって迷わず牛乳を優先するだろ! もちろんビール「も」冷やしたいだろうけど! オレなら牛乳を冷やして、それからビールの六缶セットをバラして数缶を冷やすぜ?
 で、この INT 低そうな発言をぶっかました人物の過去の経歴がなんか中二めいたもすぬごさであるらしいという回想とかが入るに至っては、「だ、大丈夫かこの作品……?」という深刻な疑念が頭をもたげてきていたわけではありますが、1 巻も最後のあたりに差し掛かるころには、「まぁ……いろいろこのキャラクターがこういう立場になる前提にリアリティを持たせるあれこれには難がある気もするけど……こういう立場に置いてからはじめる意義は充分にあるみたいだし、よしとするか……!」ぐらいに思えてくる程度には面白くなりはじめており、また実際、先を気にならせるパワーはすっさまじいものがありました。
 その先もまぁねー、いろいろと引っかかりはあるというか、サブクラスとして ssRNA ウイルス屋のレベルも取ってた(ポリオの全合成の初報とかまさにその頃の話だぜ)身からすると、いろいろと云ってやりたいこともなくはなかったわけですが、そのへんはもう気にしないことにしようっつうか、実際よくやってるほうだとも云ってよさそうっつうか、さすがにそのへんをあんまリアルにやりすぎるとテロのマニュアルになりかねない気もするっつう意味では無難なデタラメさとも云えるかなーという感じで肯定したくなってきたりもしたので、よし、の方向性で。
 で、終盤に至っては、もう冗談みたいな見事さで、どんだけこれらが本筋に噛んでくるんだ? ぐらいに思ってた伏線の数々、単なる過去回想に彩りを添えるための詳細描写に過ぎないかもぐらいに思ってたあれやこれやがスゲェ勢いで収束してくる(むろん、手記的な、「わたし」の一人称であることを思えば、事件にかかわっている間に遭遇したいろいろなできごとの中からそのように関連するものに絞って挙げてきた、という理解になるわけですが)構成の見事さにしびれまくりでありました。決戦の切り札も「う……わぁ……」とかそういう感じでな……。たまらん。
 読み終わって、映画脚本の人だ、という解説を読んで、ああ、なるほど、と納得。粗さも見事さも、まさにそんな感じ。映画の尺が前提なら削られたであろう盛り込み部分のそれぞれに映画的、とも云われてみれば思う感じ。
 ってことで、大満足で Kindle を置いたわけですが。
 最後に疑問が。
 なんか、「わたし」、サラセンのやってきた(そしてサラセンの見事な手際により本人以外誰も知りようがなかった)あれこれを、地の文で見てきたように精緻に描写してて、それは当然、サラセンを捕らえた後で、洗いざらい聞き出した成果ってことなんだろう、と思って読んでたんですが、終盤あの展開だと、それはちょっと無理があるんじゃねぇの?
 もちろん、云うまでもなく、「一人称小説の語り手が事実を語ってるとは限らない」っつーのはあるわけでして、となると……。どっちが嘘なんだ……? と。
 うむ、その方向性でも続きがさらに楽しみになってくるぜ!
2014/12/09 (Tue)
141208 * Top * 141210
■ Comment
・コメントを投稿する
URL
Comment
Pass
 
■ Trackback
この記事のトラックバックURL
・この記事へのトラックバック
* Top *