深度 、急速潜行~
[日々のいとまに]131230 ~農政について~
▼内田先生の「農政について」がなかなか興味深い、というか、結論としては大筋同意という感じであり、ご紹介など。
 いや、結論としては同意なんだけどねー。中身はいろいろひっかかるぜ。
 「神を顕彰するための建築を建てよう」というのは宗教の過剰適用ではあるが、まずは常識的な企てである。「神を顕彰するために、異教徒を皆殺しにしよう」というのは常識の範囲を逸脱している。
 というのは、ええと、内田先生ご自身がクリスチャンであらせられたかははっきり覚えてないのですが、ジーザス以降の YHVH 系の一神教では逆、だったような……気が……しないでもない……ような……。あいや、後者はともかく、本来前者がけっこう明文的に禁じられてなかったっけ?
 教育については大筋納得ですが、医療についてもひっかかりは覚えずにはおれないものでもありました。
 金になるから医者になる、金になるから病院を経営する、金になるから薬品を開発する。そういうことを平然と言い放つ人たちがいる。
 いる、という観察そのものは正しいと思いますが、それを「言い放つ人」ってのは、たぶん、実際にはそう思ってない、というか、思ってもいるでしょうが、それは動機のあくまで一部にすぎず、それもほとんどにおいてはその主要な一部ではない人なんじゃないかにゃー、と、思うんですがどうか。オレ自身についていえば、医療のフィールドに含まれるであろう場所にいるのは「誰かが分担しなければならない」からではなく、第一に「そうしたい」からであり、第二に「食ってける程度に金になる」からであり、「しなければならない」なんてのは考えたこともねぇぜ。同じことは RPG とかでヒーラーを選びがちであることについても云えるわけで、「パーティーにヒーラーが必要だから」なんて理由でやったことはただの一度もねぇぜ? あ、DnD でドルイドやったときだけは若干それに近かったですが、あれも結局、「治療者なんざやっていられるか!」が勝って、「治療者」ではなく「予防者」になっちまったしなー。あいや、オレのことはどうでもいいのですが、内田先生の論からは「やるべきことを分担するべき」的なことがよく聞かれるのと同時に、「分担とべきで縛るとオーバーアチーブメントが失われて全体のパフォーマンスが落ちる」的なこともよく聞かれるように思うので、そのあたりがいつも「あれ?」とちょっと思うところではあるのでした。いや、矛盾してる、とかそういうふうに思うわけではないというか、きちんと整合する底流も見えるようには思うんですが、あんましオレの目では解像度よくは見えないんだよなー、ということで。
 で、ついでにもうひとつひっかかりを覚えるのは、これについて云うなら、より「金になるから医療者(のようなこと)をやっている人」ってのは、きっと、決して「金になるから医者になる、金になるから病院を経営する、金になるから薬品を開発する」というようなことは口に出さない連中だろうなー、ということでありました。まぁ、連中が開発してるのは薬品じゃなくて砂糖玉や雑菌塊かもしれんが。
 で、本論ですが。
 自分たちが食べるものが他集団の人々からは「ジャンク」にしか見えないようであれば、食物の確保はそれだけ容易になる。
 って軸の話は、つい納得してしまいそうになったところなのですが、ふたつの観点からひっかかりを覚えずにはおれないところでもあります。
 第一に、その生存戦略は、たしかに、「食料そのものの奪い合い」のリスクをは低減するだろうと思えますが、それを産するリソース、代表的には「土地と水の奪い合い」に対しては無力っつーか、「あいつらに持たせておいてたままでも我々にとって価値ある産物がそこから生産され、それを我々が買うことができるのであれば、犠牲を払ってあいつらから奪う必要はない」と「あいつらに持たせておいたままでは我々にとって価値ある産物がそこから生産されないのだから、犠牲を払ってでもあいつらから奪わなければ、生産力のリソースが単純に浪費されていってしまう」の天秤が存在してしまいそうな、気が……?
 第二に、食というけっこう魂の本質に係る部分で「わかりあわないことを是とする」生存戦略って、要するに、わかりあうことを拒否してしまっている、ような、気が……。いや、そりゃ双方の人々が成熟してしまった「後で」なら可能になるでしょうが、その順番でモノゴトが進展するということはあまり期待できねぇと思うし、わかりあった後となればそれはそれで、「「世界中の美食」に対する欲望を駆動する」結果になるだけなんじゃないかにゃあ? また、「ただのゴミ」に対しては共存を許容できても「悪臭を放つゴミ」に対しては、(それは乗り越えることが可能な衝動ではあるにせよ)まず、「排除せよ」という衝動を喚起し、結果的にサツバツを生ぜしめるほうが先になりそうな気が……。
 つーか、この第二のポイント、差別の発生や継続を力強く支持する言葉になってしまうような予感がバリバリしてしまうのですが……。
 まぁでも、そのへんはある上で、「他は何をしてもいいから、農業と医療と教育についてだけは何も言わないで欲しい」という結論については、「然り!」というか、TPP みたいなことについてオレが思うのは、「関税という金の問題については全撤廃でいいから、非関税障壁(保険制度とか)については何も云わないで欲しい」ぐらいかなぁ……。あれ、これだと農業がアレになる? いやまぁ、イナゴの放牧とか推奨すりゃいいのか? 「他集団の人々からは「ジャンク」にしか見えない」食い物での生残を目指すなら。
2013/12/30 (Mon)
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