深度 、急速潜行~
[日々のいとまに]130704 ~モルフェウスの領域~
▼海堂尊「モルフェウスの領域」読了。
 なかなかの SF でありました。つーか、ちょっとシリーズの他作品と圧倒的に違う味わいがあるよねぇこれというか、よくまぁここまで臆面もねぇ萌えキャラ設定したモンだな! とかそんな感心もしてみたり。涼子の設定と描写じたいがそもそもそんな感触なんですが、それ以上に周辺の彼女への接し方がなー。あの連中をして、こういう接し方をさせてしまう個性を涼子が持ってる、ということがつまり、涼子がとんでもねぇそういうキャラであるということを示しているってことだよね! というような。
 その涼子の視点が占める割合が高く、それが全面的に、とくに序盤(紙幅においては。経過時間において云うなら終盤以外のほとんどの時間、と云えてしまう?)が、半分眠ったような、夢のベールを通して世界と接してるみたいな、個人的には「幽霊屋敷のコトン(ワンオヴマイオールタイムフェイヴァリットなんですが、たぶんタイトルだけで広く「ああ、あの!」と通じるものじゃないんじゃないかと想像)」を連想するような視線に拠っていることで、全体の空気もなんとなくそんなゆらゆらした感じになっているというか、夢のベールを通してるみたいな感触については、山田正紀作品にときどきあるようなそういうのに似た感触を覚えたというか、そんな部分が、単にその技術が現在のものを超えているから、というだけではなく、「SF じゃのう」という印象を導いたようにも思います。
 つーかべつに涼子視点じゃないはずの、翔子が「受けろ」とかを回想する場面すら、そういう感触を与えたりするんだよなーこの作品においては。
 よい外伝でありました。「正伝側作品群(の中でもとくに面白いいくつか)より面白い」とは申しませんが、その感触については、「正伝側作品群より好き」と云えるかも。
 まぁでもしかし、そっち業界ではないはずの筆者の作品で、そっち業界の装備をこんだけ臆面もなく揃えた萌えキャラを描かれるとまぁ、なんだ、うん、ちくしょう、という気分になるものですな! まったく!
 もう一点、「いつもの」と違う感触を与えてる部分も、あるとは思います。つまりあの、往々にして苦笑するしかないセンスな異名が、今作ではほとんど出てこない、というのが。「ステルス・シンイチロウ」は名前に形容詞がついてるだけってことでセーフっつーことで。
 ……ところで、「五歳だってあり得ないのに、十四歳のレティノですって?」はぜってー伏線だと思った(し今も思ってる)んですが、今作では回収されなかったかー。
 回収……されるよね……?
 まぁ、全体としては長い話なんで、焦らずに待つぜ!
2013/07/04 (Thu)
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