深度 、急速潜行~
[スポンサー広告]スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--/--/-- (--)
[Life as a Half Drow]再現志向者の責務
▼なんかこれまた界隈では一定周期で話題になってるような気もしますが、思うところあるのでちらっと触れてみます。
 「TRPG者はアニメ好きか」(VNI 様で発見)
 べつにアニメに限った話じゃないんですが、なんか元ネタのある演出/演技/その他を TRPG のプレイで再現したろうというスタイルに関する是非の話。
 えーと、わたしは全面的に是だと思うんです。思うんですが。
 もしかして、わたしが思っているような「再現」と、各地で俎上に乗ってる「再現」は全然違うものだったりするんでしょうか。
 本人はかっこいいつもりで引用しているセリフも、前提知識がない人間からしたら、ただ呆れるしかないわけで…。
 って、それは再現しようという挑戦の是非という定性的な問題「ではなく」再現技量の優劣という定量的な問題だと思うんですがどうか。
 引用元においては何かから引用してそのセリフが語られてるわけじゃないんですよね? つまり、引用元においては、それはその場で初めて登場した前提知識を必要としないそれ自体のカッコよさを備えていたわけだ。
 同じように、引用者が TRPG においてそのセリフを発する場合にも、シチュエーションが完璧にそのセリフに見合うものであって、そこで満を持して発したのであれば、実際には元ネタがあったとしても、その前提知識がない周囲のプレイヤーはそれをオリジナルのカッケェセリフだと思って「うおおカッケェぜ」と思うハズですよね?
 セッション後の飲みの席で、
「いやあ、あのシーンでのキミのあのセリフはよかったね。あのシーンで流れが決まったと思うよ」
 とか云ってやって、そこで初めてそのセリフを吐いたプレイヤーが、
「ああ、すんません、あれ実は○○からパクったセリフだったんスよ」
 とカムアウトする。それが成立するような再現志向に対してわたしはアリだと思ってるんですが。
 「元ネタに関する前提知識の有無に関わらず、そんなセリフをカッケェと思うのはアニメとか好きな人ぐらいのモンだぜヤレヤレ」という論旨だと、えーと反論が難しくなっちゃいますけど、そういう論旨ではないですよね?「前提知識がない人間からしたら」と書かれてるってことは。
 同様に、
 あげくGMの出したメインヒロインNPCが名前から性格からすべて元ネタまんまというシナリオにコンベンションで参加したことがあるのだけれど、あれは苦痛だった…。
 も、マスターがきちんとその元ネタの娘っ子を咀嚼消化吸収して自家薬籠中のモノとした上で、再構成して自分のシナリオのメインヒロインとして自分のマスタリングの言葉で設定描写演出したのであれば、べつに問題はなかったハズです。前提知識とは無関係にヒロインとして扱うことが苦痛であるような娘っ子だったというなら批判の焦点は別の場所に行くでしょうし。
 セッション後の飲み会の席で
「いやぁ、今回のヒロイン、ありゃスゴかったね。もしかして実体験から来てる?」
「ああ、すんません、あれ実は○○に登場した△△って娘っ子ママイキなんスよ」
 って会話が成立するような再現志向だったらアリだと思うんだけどなぁ。
 わたしは昔、DnD のシナリオで「インスマウスの影」を再現しようとしたことがあります。プレイヤーは最低限クトゥルフ神話の基礎知識っぽいものを持ってる連中だったと思いますが、わたしはプレイヤーとマスターがその基礎知識を共有してることを前提にした演出を一切しないように心がけました。元ネタにおいて、ラヴクラフトは読者が TRPG 「クトゥルフの呼び声」のルールブックを読んでいることを前提にして書いてはいなかった(当たり前だ)からです。元ネタの小説内でなされているように、魚っぽい町の住人たちの姿、臭い、町の閉塞感、停滞感といったものを、クトゥルフ神話の用語を一切使わずに描写し、まさか DnD のシナリオでインスマウスはないだろうと思っているプレイヤー達を(ラヴクラフトがクトゥルフ神話の知識を持たない読者に対してそうしたように)少しずつ未知の恐怖に引っ張り込むべく奮闘したわけです。まぁ、実際どの程度のレベルで達成できたかは自分で採点するものでもないと思うのでここでは置きますが。*1
 「クトゥルフの呼び声」のマスタリングは、常にこうした気遣いを必要とするものであると云うこともできるでしょう。プレイヤー間でのクトゥルフ神話に関する前提知識量には当然差がありますし、全員がマスターと同等の神話知識を持っていたとしても、その共有知識を前提にして描写したんでは、この TRPG の謎解き/探索/調査のプレイの楽しみが大幅に失われてしまうからです。マスターは有名なクトゥルフ神話の怪物を登場させることを念頭に置きながらも、その怪物を自分のシナリオの文脈に応じた適切な表現で小出しに描写してゆかなければなりません。ここで、プレイヤーがクトゥルフ神話の知識を持っている場合は、それらの描写をプレイヤーレベルでつなぎあわせて登場する怪物をあれこれ予測することを楽しみつつ、それを知らないキャラクターのリアクションを想像して実際の PC の行動に反映させてゆくという、ホラーゲームに特有ともいえるであろう「プレイヤーもマスターも二枚以上のレイヤー(プレイヤーにとってはプレイヤー自身のレイヤーと操るプレイヤーキャラクターのレイヤー)を常に意識しながらプレイする」という楽しみが確立します。「クトゥルフの呼び声」の場合、プレイヤーに「一切クトゥルフ神話知識がない」場合は楽しさが半減してしまいそうであることは事実であり、ある程度の「共有された前提知識」が要求されるゲームであるわけで、再現欲求の是非を論ずる場合にはちょっとズレたフィールドではあります。が、上述のように「共有された前提知識」に寄りかかった描写演出進行は許されず、「元ネタのあるものを咀嚼消化吸収して己のモノとしてから再構成して描写演出してゆく」ことが常に要求されるゲームであり、これを長く遊んできた身には、「共有された前提知識」に依存しきった「再現」などというものは、そもそも論ずるに値しないものであるなぁ、というのが正直な印象であります。
 さて、以上、クトゥルフ神話に関するアレコレを踏まえて。
 これが「クトゥルフ神話の怪物」じゃなくて「ゴブリン」だったらどうよ?
 TRPGer の持つゴブリンのイメージは比較的統一されてますし、いちいちゴブリンの外見的特徴を説明するよりは「ゴブリンがあらわれた!」と云ってしまったほうが早いし実用的でしょうね。*2
 それじゃ、たとえばエルフは?
 TRPGer の持つエルフのイメージは千差万別ですよね。その齟齬が原因でいろいろモメたような事例はあったと思います。
 カトリックとプロテスタントの関係に関する前提知識の齟齬でモメた事例*4まで世の中にはあるぐらいですし。
 どんな分野の「共有された前提知識」を求めるかが問題なわけではないんじゃないかなぁ。
 「共有された前提知識」に依存しすぎな描写演出は、その依存する「共有された前提知識」の分野が何であるかに関わらず、避けるべきなんじゃないかなぁ。
 そして、それをきちんと意識して自家薬籠中のものとして描写演出できるのであれば、再現欲求それ自体に罪はないんじゃないかなぁ。
 と、思います。
 アニメやマンガのフィールドにおける「共有された前提知識」に依存するような人が、そうした「「共有された前提知識」に依存して自分の言葉での描写演出をないがしろにする傾向がある」という傾向が、もし、あるんだとしたら……。
 うーむ。
 うううううむ……。

*1:余談ですが、このシナリオで、わたしはインスマウスに該当するその町(名前は変えました、もちろん)に草野球のグラウンドを登場させました。しかしながら、DnD のそのキャンペーンワールドで野球が一般的であると考えるべき理由は何もなかったので、野球場について正方形の中に綿が詰められているらしい布製のクッションのようなもの、五角形のプレート、線、その空き地の少々土が盛り上がっている場所の上に置かれた長方形の板、といった言葉を用いて描写を試みました。言葉でいくら説明しても理解できない体のプレイヤーを前に、「んーわからない? んじゃ図に描くね?」といって描いてみせたところ、大爆笑が。いや、これはやりすぎですっていうかあんまし「良い」マスタリングの例じゃない気もしますが。

*2:でも、それじゃ、たとえば、(実際にそんな TRPG のシステムがあるかどうかは知らんけど)我々の現実世界の住人が何かの拍子に異世界に召喚されてそこで勇者様をやらされるハメになる、という、TRPG 以外のゲームやマンガやアニメや小説ではおなじみのパターンだったときにはどうなんだ? わたしなら、最初の遭遇のときだけは、ゴブリンであれなんであれ、その外見描写を自分の言葉を尽くしてやってみようと尽力しそうな気がします。余計かなぁ? でも、「キャラクターにとってどうであるか」という基準は重要な気がするなあ。プレイヤーとマスターで「共有された前提知識」があるとしても、キャラクターにとってそうでないなら、キャラクターにとってその元ネタのある NPC がどう映るかをその世界の言葉で描写するのはマスターの努力の方向性として正しい気がします。
 上述した野球場の例のように、まず一般名詞による説明をした後に、「……というようなモノだけど、わかる人には「○○に登場した○○」って云ったほうが早いかな?」というやり方もあると思います。
「君たちの宇宙船の進路上には、巨大な円筒形の物体が浮かんでいる。巨大といっても真空中だから距離感もにもないので、実際の大きさはわからないけどね。手元の端末に表示された情報によると、その円筒形は直径が ○ km、長さが △ km ぐらいで、その内部は空気で満たされている。円筒の表面は、円周の六分の一ずつの幅で区切られていて、金属で覆われている部分とガラスのような透明な素材で覆われている部分が交互につらなっている。円筒は太陽に対して垂直な向きになっていて、円筒の太陽から遠い側の端からは巨大な鏡が放射状に伸びている。これらは太陽に光を反射して、円筒表面の透明な部分から円筒内部に太陽光を引き込むようになっている。(ここらで図を描いたほうがよろしかろう) この円筒の中には、金属で覆われている部分の裏側に地面があり、鏡で反射されて透明な部分を通った太陽の光がその地面に射すようになっている。鏡の角度を変えると光量が変わって昼と夜の明るさの差が再現できる仕掛けだ。円筒は両端の底面の中心点を通る線を軸にゆっくりと回転しているが、これはこの内側の地面に遠心力による擬似重力を作り出すためのもの。で、円筒の両端にはろうと状になった構造物が、ろうとの広がった側を外に、細い部分が円筒の底面の中心に連結する形でついていて、これは回転していない。このろうと状に広がった部分が宇宙船が入港するための港口になっている。というような構造なんだけど*3だいたいわかった? ああ、知ってる人には「ガンダムに出てきたスペースコロニー」って云ったほうが早いかな?」

*3:昼と夜を表現するシステムと太陽に対する角度が自信ナシ。まぁ例としては充分だろうということで放置。

*4:妙な話でリンクしてしまってスミマセン。
2005/07/15 (Fri)
■ Comment
なかなか私の記事だけ浮いてて嬉しいです(笑)。
モメてないんですけどね。「あれは違うんだ!そんな意味じゃないんだ!!」と本人が後から叫んでたけど全員聞いてないんで(笑)。こういうのはダメなセッションの例でしょうね。

TRPGゲーマーがセッション中に発するかっちょいいセリフ(特に演技重視システムの)って大半が元ネタありなんじゃないかなってのは偏見でしょうか?
2005/07/15(Fri) 20:38 * URL * がちゃ #-[編集]
 いやホント妙な形で拾ってしまってゴメンナサイ。

>TRPGゲーマーがセッション中に発するかっちょいいセリフ(特に演技重視システムの)って大半が元ネタありなんじゃないかなってのは偏見でしょうか?

 ってのは鋭いですな。
 うーむ。
2005/07/19(Tue) 00:10 * URL * DRR #/7QgdNBM[編集]
・コメントを投稿する
URL
Comment
Pass
 
■ Trackback
この記事のトラックバックURL
・この記事へのトラックバック
* Top *
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。