深度 、急速潜行~
[Life as a Half Drow]Dwell with Eilistraee
▼二月のある土曜日、板橋区内某所に、六人のゲーマーたちが集結した。
 フォガットゥンレルムを舞台にした、それぞれのメンバーが回り持ちでマスターをやる、3.5 版 DnD のキャンペーンの、第一回セッションを行うためである。
 わたしは、その一員だった。今回のキャンペーンに英語版しか存在していないルールを持ち込むという合意を得るために、大量のルールブックをキャスターつきの旅行鞄に搭載して、それをずりずりとひきずりながら、電車に乗ってはるばるその板橋の地を訪れたのである。
 最初の望みは、ブレイドシンガーかスペルソードのプレステージクラスを目指す魔法戦士をプレイすることだった。しかし、参加者たちの希望を聞いているうちに、どうも、メンバー構成にそんな余裕はないのではないか、という深刻な不安が頭をもたげはじめた。
 過去に、優秀なクレリックやローグを操って活躍したメンバーは、「今回は前衛がやりたい」と云った。それは妥当な希望だろうと誰もが思った。
 もうひとり、過去にローグやクレリックで活躍したメンバーがおり、こちらはその日のマスターをやる予定だったのだが、かれもまた今回はファイターをプレイするようだった。
 やたら忙しく、参加のチャンスが少ないひとりのメンバーは、過去のキャンペーンではエヴォケーション・スペシャリストのウィザードとして大活躍していたのだが、今回は二刀レンジャーをプレイするという希望を述べた。我々のサークルでは、二本のキャンペーンを並行している(マスターや参加者の都合によってどちらを遊ぶかが決まる)のだが、かれは忙しさのためにその片方にしか参加できておらず、そしてもう一方では二刀ファイターをプレイしたいという希望をすでに述べていたのだった。今回、二刀を目指しやすくなったレンジャーをベースに二刀前衛を目指すのは、これも、誰から見ても自然な選択だった。
 別のメンバーのひとりは、もともとはマジックユーザーを好んでプレイするプレイヤーだったのだが、過去のキャンペーンではファイター(HFO)やパラディンをプレイしており、今回ウィザードをプレイしたいと口にしたときに、誰も異論をさしはさむことはなかった。
 つまり、残された二人は、どちらかがローグを、もう一方がクレリックをやらない限りは、パーティー構成がかなり大変なことになってしまうことが明白になったのである。
 わたしは、魔法戦士を諦めた。
 そして、もう一方の選択肢として漠然と考えていた、Faiths and Pantheons 収載のプレステージクラスを目指す方針を固めた。
 選択肢は二通りだった。武器としては刃物が使いたかったし、キャスターレベルが下がるようなプレステージは避けたかった。そして、イーヴル PC は避けよう、という点で合意が成立していた。
 わたしが選択肢に上げたのは、死の神ケレンヴォー(F&P に載っているこの神のイラストはやたらとカッコいい)のクレリック/ファイターをベースにした、この神の信者専用のプレステージクラス「ドゥームガイド」と、過去にそのあまりに愛らしいイラストに魅了されたことのある、善なるドラウの女神イーリストレイーのクレリック/ファイターをベースにした、この神の信者専用のプレステージクラス「ソードダンサー」であった。(なお、わたしを魅了したのはイーリストレイーのイラストでもソードダンサーのイラストでもなく、ソードダンサーのイラストにまぎれ込んでいるビホルダーの一種みたいな謎の生命体である)
 どう考えても、前者のほうが優秀なクレリックになれそうだった。
 だが、いくつかの理由から、わたしは、ソードダンサーを目指す道を選ぶことにしたのである。
 つまり、ケレンヴォーのドゥームガイドは、単純にやるコトがマトモすぎて、いまいち面白くなさそうだったのである!
 それに、他の 2 名のプレイヤー――今回マスターを担当したプレイヤーとウィザードをやったプレイヤー――がハーフドラウを選択したこともわたしの背中を押した。
 初めてのフォガットゥンレルムを舞台にしたキャンペーンで、わたしがドラウでもハーフドラウでもないものをプレイするのに、他人が(しかも二人も!)ハーフドラウをプレイするなどということがあっていいものか!?
 わたしはハーフドラウを選んだ(レベル補正のつかないレルム基本種族としては、ペナルティが皆無でフェイヴァードクラスの制限もなくダークビジョンがただでついてくるハーフドラウは最強種族だと思う)
 むろん、ハーフドラウでケレンヴォー信者をやることは可能ではあるのだが、わたしの中のドラウに対するイメージが、ハーフドラウでローフルニュートラルの神のクレリックをやるということを許容しなかった。
 その後、さまざまな葛藤を経て、わたしはハーフドラウの 1 レベルファイターとして、そのキャリアを開始することにした。結局、初回はクレリックなしのパーティーになったわけだが、最初ならまぁ何とかゴマ化せるだろう、と結論するに至ったのだった。
 葛藤の原因は、どうやってもソードダンサーはまともな性能を持ち得ない、という、絶望的な発見に起因していた。しかし、フォガットゥンレルムにおいて極めて重要視されているドラウという種族をプレイすることの魅力と、不人気を知りつつ買った英語のサプリメントを活用できることを考えれば、その程度は甘受するべきであろう。クレリックレベルは 2 ほど遅れるが、最低限のクレリックとしての性能は維持できるはずではあるのだし。
 本日から開始するこのカテゴリー「Life as a Half Drow」は、このハーフドラウのソードダンサー志願者に関わるもろもろを中心に、サークルの仲間たちに対する英語の本、主にコンプリートシリーズと F&P に関する紹介なども交えた連載として、これから不定期に書いてゆく予定である。どうぞよろしく。

 ソードダンサー。
 そはいにしえよりのさだめの名、地上に住まうドラウの乙女。
 黒き剣(ツルギ)は同胞を、陽光のもとへ誘い給ふ。


 なお、名前はまだない。
 ちなみに、その他のメンバーたちの構成は以下のようなものであった。
 ドワーフ・ファイター・男の「ブリガン」
 ヒューマン・レンジャー・男の「エロゴルン」
 エルフ・ローグ・男の「名前未定」(セッションではレゴラスと呼ばれていた。要するに、この三人は LOTR 登場キャラーを脳裏に描きながらデザインされたということのようである)
 ハーフドラウ・ウィザードの「性別・名前未定」
 今回はマスターだったハーフドラウ・ファイター。
 ……ひとりを除いて全員が何らかの特殊視力をもち、しかも六人中半分がハーフドラウというイカレた、実にレルムらしいパーティであった。
2005/02/13 (Sun)
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