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   深度 、急速潜行~
[日々のいとまに]110629 ~差別の民俗学~
▼赤松啓介「差別の民俗学」読了。
 ファンタジー。というのが実感でありました。……ファンタジーではないんだろうと信じますが、実感としては。
 ま、これこそが差別の実感(つまり、オレは差別されているのだな、という)なんでしょう。
 ちょっと引用。
 われわれは生まれたときから社会生活をしているのであって、孤立した環境で成長したわけではない。とくに村、すなわち村落共同体のしがらみは、そんなに容易に解けるものではなかろう。
 こんなん読むと、まさに、オレなんかはそうした「差別構造」の「外側」に置かれている(ってつまり差別されてるんだよね?)のであるなぁ、と実感されるものがあります。今回の渉猟はまさに、その「外側」について知りたかった(我らはお上の直属であり、それぞれの土地の階層構造には属していない!)という動機から始まっており、「内側」について書かれたこの本はまさに外道もいいとこだった、といえばいえるのではありますが……やっぱりまぁ相変わらず上手いし面白いので、ファンタジー、っつか「他人事」としてとても興味深く読ませていただきました。
 で、ひとつ強烈な違和感が。
 結婚に関する差別が云々って話ね。これ、ふだんはまるで表に出てこないどころか心のどっかすみっこにすら差別感情なんてないで付き合ってるのに、こと「結婚」になると突然家系をさかのぼって差別構造を見つけ出されていろいろアレなことに、ってこともあるようで、そういう意味ではオレみたいな漂泊民でも結婚するとかいうことになって根性ある差別主義者に家系を探られたりしたら「おお、オレにも村落共同体の内側と看做される部分があるんだな!」なんてなコトになったりするのかもなぁとか思ったりもするのですが、これがまさにねぇ、昨日の日付で感想を書いた「日本中世の民衆像」にあった「民俗学には年代がない」という記述をしみじみと思い出すなぁというようなアレでありまして。
 同じ赤松啓介の筆による夜這い関連の話なんて見てると、「遺伝上の父が誰かとかあんま気にせず育てる」みたいなのが当たり前とされてる、にもかかわらず、「結婚」のときに急に(いや実際には急じゃないんでしょうが、同じ著者の筆と思うと実に急な印象があります)そんなややこしい問題になってくるってのが、しかも、子孫によろしからぬ被差別的何かが受け継がれることを嫌ってそうなってるっぽいってのが、実にさっぱりわからん。そりゃ極端な差別被差別関係の間であれば想像可能ですが、もっとこう、階層構造になってる(つまり「差別側」と「被差別側」の断絶ではなく、連綿とこの階段がつながってる)状況でそれって何なんだろう? 遺伝的な云々ではなく「家」としての出入りの(戸籍制度が確立してからはその制度上の、それがない段階においてもまぁ系図みたいなのがあるとこにゃあるんだろうからそういうのの)書類上の云々「のみ」でそこまで大騒ぎをする感覚があるってんでしょうか? うーん……やっぱりさっぱりわかんねぇぞ……やっぱオレが外側だからなんでしょうかねぇ? このあたり、「ところが階層分化が始まると」なんてな書き方でつながれてたりして、うーん、なるほど、でも年代がないからよくわかんねぇし……と思ったり、さらには、「そんなに最近に始まった話なのか? 差別って?」なんてねぇ、思ったりするわけですよ。
 このあたり、赤松啓介著作は差別(内部差別)の話として興味深いし、また、外部をは差別してもその中ではフリーダムだったぜって話としても興味深いですが、両者(つまり内側は苛烈な差別の枠の中にあったのか、フリーダムだったのか)がオレん中で全然つながらねぇなぁ、と思う次第。
 もうひとつ、やっぱりオレはわかってねぇってことを力強く露呈する宣言になるかと思いますが、「もぐらの嫁さがし」は二度読んで、二度とも「その解釈違うんじゃね?」と思ってしまった(うん、オレが間違ってるってことは理解してるけどね。でもどうすれば正しいのかはよくわかんねぇ)のでちょろっと書いておきます。これさぁ、確かに身分乗り越えるのは大変だよ、って前提は前提としてあるってのはわかります。でも、オレ的にはやっぱこれ、「いい嫁を、もっといい嫁を」と、「よりよければ誰でもどこでもいい」というふうに探す話はひたすらしくじるものであり、いけるとしたら「この人を」と絞り込んで一点突破した場合に限られる、って教訓、に見えちゃうのよねー。たぶん、差別構造を実感として持っていないからこその感覚かとは思いますが。
 ……まぁそんな感じでありました。裏街道話で出てきたサンカの件などは……やっぱりさすがにちょっと興味出てきたかなぁ、という感じ。実は今回の渉猟で、とりあえずサンカは外しておこう、といったん横に置いた言葉だったんですが。まぁでも文庫や新書じゃなかなか見つかんないんだけどにゃー。
2011/06/29 (Wed)
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