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   深度 、急速潜行~
[日々のいとまに]110624 ~非常民の民俗文化~
▼そして、昨日分のアプ後、ダラーリとネットの海を泳いでたら、そもそも「もののけ姫」と網野史観の関連についてはさんざん語りつくされているらしいことを知ってギャースってなモンでございました。まったく。オレにとっちゃ「闇の太守」方面からの脈の上で出会ったものだったので、全然そのへん理解してなかったよなーとしみじみ。てゆか、もののけ姫に寄せたその網野解説文は読んだ記憶はしっかりあるので、その時点でちゃんといろいろ探してれば……とはちょっと思ったりも……。
 まぁ、自分の中にちゃんとした土台のない分野でいろいろ本を渉猟する楽しみの一環なので気にしないことにするぜ! などと開き直りつつ、最初に買った三冊のうちの二冊目。
 ちくま学芸文庫、赤松啓介「非常民の民俗文化 生活民俗と差別昔話」
 ……うん、これもね。
 どうだろう。予習してたら買ったかどうかは実に疑問です。読み終わって「赤松啓介」でググって、あー……あーあーあー、とかそんな……なんというか……なんというべきか……というような状態に陥ってみたりしたわけですが、まぁ、この一冊は、「タイトル詐欺だ!」と云いたくなったってことは正直なところでございます。
 ございますが。
 求めていたものとは全然違いましたが、これすっげぇ面白かった。
 てか、やっぱ自分がそもそも土台を持たない方角のことなので知らなかったオレがアレなだけで、わかる人は当然のごとくわかる名前なんだよねぇ? 「ああ、あの」って感じで。一世を風靡したっぽいこともネット上の評などには書かれてるし。
 まぁまず、それこそ網野史観などについては、それを下敷きにしていたという予備知識なしに、そこから生まれた枝や葉をまぁ好んで賞味していたこともあって、とてもすんなり読めたわけですが、こっちは「ちょ……あんじゃこりゃ……!?」としか云いようのない世界でございました。ほとんどファンタジーを読んでる気分だったぜ、ある意味。
 んでまぁ、ファンタジーな気分で面白い、的な中身に対するそれもありましたが、それ以上にスゲェのがこの文体というか……テキストの牽引力というか馬力のようなモノでございましてな。で、それに引っ張られて読んでると、ときどきトラップのごとくトゲが潜んでたりして……というのはたとえば、「いったい何だってそういう文化になってかなきゃならなかったのか」という背景というか、理由というか、原因のようなものが垣間見えたりすると、うげぇ、うーむ、なるほど、ということは、そりゃわかっちゃいたけどファンタジーじゃないんだよな、と腑に落ちるように感じたりするというか……。
 で、ええと、今回の渉猟の焦点の置き方(置こうと仕方)からして、差別云々はまぁ、避けては通れない問題ではあります。現実の現在の差別については(今回の渉猟においては)興味はありませんが。(とはいえ、網野著作、赤松著作を眺めてみて、いずれもに書かれていることとして、「差別の実態は日本の東と西では全然違う」ということを知り得たのは、今回の大きな副産物的収穫ではありました。そりゃ自分の中にいかなる差別についてもいかなる差別感情もないと云い切れるかと云われりゃそりゃ無理だぜって話ではありますが、so called 部落差別みたいな問題が「さっぱり実感としてわかんなかった」ってか「それどこの空想世界のファンタジー?」ぐらいの感覚だったのは、むしろオレみたいな関東周辺を漂泊している民には自然なことだったんだなーと。というか、そういう西国の実感的差別の世界を当たり前のごとく東国の(道徳とかの)教育に「これは西国では実感なんだけど君ら東国の民には実感ないかもね」といった前置きすらなしに押し付けてくる有様は、その行為こそがすげぇ東国差別なんじゃねぇの? なんてなことも思っちゃったり) んで、この本の前半、「ムラ」の云々については、これは強烈な「加差別側」の実情紹介だなぁ、という感じだったなぁ、ということは申し上げておきたいところ。その「加差別者」の民俗を指して「非常民」の民俗として書くことに、言葉としてはオレはなんとも違和感がありました。なんてなー、それって要するにオレが「常民」という言葉の意味をまるで理解してなかったってことに過ぎないのかもですが。まぁでも、ムラの「住民と住人は違う」というような差別構造に照らすと、オレなんかみたいなのは明確に被差別側だよねーってのは(強いものでもダメージを感じるものでもないにせよ)実感のようなものがないでもない感覚なので、ひっかからずにはおれなかったところではありました。(つーか、その感覚で云うと、まさにオレ(およびオレのルーツ)は「漂泊民」になってるよなぁ、という感情もあります。現代においてはオレら数としては少数派ではないのかも、とも思うにせよ) 対して、後半部、マチ方面についてとなってくると、これはもう明らかに違う感触です。ちょっと時代が下りすぎというか、下った時代の背景に密着してすぎなので、より古い時代ぽいテクスチャを持つ TRPG とかの糧にしてくには難しいものはありますが、まぁ、「ううーむ、なるほど……」と唸ってしまう感じ。いや、唸ってしまうってのは全編通してなんですけど。んーでもどうだろ、たとえばこのマチ方面の、ここに記されたような、これは「非常民」と称されることに納得感のある生活を舞台にしたクトゥルフとかなんて、できたらなかなかスゲェ面白そうじゃね? ムラ方面ももちろんそういう素材としてイケそうではあるんですが、ちょっと TRPG では難しそうかな。伝奇ぽい AVG 系なんかで本格的に踏み込んで、ムラとムラの間で平時は仲がよかったと思えば戦争になったり、神話生物の影が見えたりでやったら熱そうだけどにゃー。しかし、この本の域まで表現をちゃんとしたらエロゲーになるしかなさそうなわりに、主題はエロゲーとして通るものにはならなそうな感もあるなぁなどとも思わないでもないですが……。
 ……まぁ、今回の渉猟で予定した筋からは外れたといえば外れましたが、実にいろいろと考える糧になりました。
 そしてやっぱ何よりこの人のテキスト(というか話し言葉のリズムだよねこれ。話のあっち行きこっち行きしたと思うとキレイに戻ってきたり、たまにこなかったりというノリも)に乗るのはなんともたまらんものでもありますので、是非他の著作もチェキってみようではないか、という気分に。いやなんつーか……このノリについてはオレごときが横から表現できるものでもないし、短い引用でうまく代表できそうなところを探せるものでもないし……難しいんですけど!
2011/06/24 (Fri)
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