深度 、急速潜行~
▼「畜産革命がもたした新型インフルエンザの流行
 ちょっと待て! かなりそれデタラメ! あるいはまぎらわしい! 結論はともかく、中身はちょっと……かなり……。
 新顔の「豚インフルエンザ」が流行している。少し前まで、世界的な大流行が恐れられていたのは「鳥インフルエンザ」だった。両方ともに「新型」と呼ばれ、混乱をきたしているので整理しておこう。
 実際には鳥インフルエンザは「新型」とは呼ばれてまへん。なお「ブタインフルエンザ」も「新型」とは呼ばれてまへん。いつか鳥インフルを起源とする「新型」が出現すると危惧されていたが、実際にはブタに由来する「新型」が出現した、と、まぁ、そのあたりで理解しとくとたぶん間違ってはいない感じ。正しいと云い張るとまたツッ込む余地があるんですが……。
 何十年かの間隔で大発生する症状の重い「新型」とに分けられる。
 間隔については、過去においてはそうだった、と云うのならまぁそんなに間違ってないですが、ちょっとこれも微妙。たまたま結果としてそういう周期だっただけ、ってのがまぁたぶん正しい観察かと思われます。なお症状の重さは「新型」の定義とは無関係でありんす。
 とくに、急性で致死率の高いものは「高病原性」と呼ばれる。
 えーと、通常違います。通常「強毒性」と呼ばれる場合、これに近いものかも。たぶんヒトインフルエンザに高病原性も低病原性もなく、鳥インフルエンザの高病原性はまぁ概ね「急性で致死率の高いもの」と云っておいて外れてないと思いますが、ここで「急性で致死率が高い」対象はあくまで「鳥」です、というか、「ニワトリ」です。ニワトリ以外の鳥やヒトがどうなるかとは、定義的には無関係なはずです。
 ときとして強い病原性をもった新型ウイルスが生まれ、人に感染すると世界的流行病(パンデミック)に発展する。
 パンデミックはあくまでも世界的大流行のみを意味し、症状の重さとは無関係です。まぁ、少なくとも、だった。WHO が定義を変えようとしてるって話も聞かんのでたぶん今もそう。なお、ここで云う「強い病原性」って何でしょうか? 上で「高病原性」を定義してたようですが、「高い」と「強い」は違うよねー。
 つまり、過密化する都市の環境に適応するように進化してきたのだ
 一般にインフルエンザについてはそうなのかもしれません。まぁ知らん。でも、新型は鳥やらブタやらからやって来るって話をしているときに、あんでヒト―ヒト感染の話になってんだ? 新型についてはどう考えても関係ないような……。
 理論上135種のパターンが存在する。やっとワクチンが完成したころには、遺伝子が変わっていて予防がむずかしい。
 これ、知らないんですが、どっから出てきた数字? 144 種類とはよく云われますが、ソ連型 H1N1 と今回の H1N1 は 144 種類に分類する分類法では「同じ」になっちまいます、にもかかわらず、新型ってことになってます。この分類法はあくまで分類の都合で分けた「抗原型」であり、便宜的な分け方にすぎんよー、ってなことがたしか先日の「インフルエンザ21世紀」には書いてあったと思います。
 ワクチンが完成した頃には云々は……えーと、ただの寝言、かな? ワクチンが当たったハズレたと騒いでいるレベルの差をもし数えたら、144 種類じゃ全然足らんくらい多くなるぜよー。同じ段落に書いたらただの寝言にしか見えんよー。
 この名称が豚肉から感染するという誤解を招いたために、「新型インフルエンザ」と呼ばれる。
 へぇー、そういう経緯だったんだー、知らなかったなー。日本においてはその通りかもしれんし違うかもしれんし知りません。世界的にはたぶんそんなことは全然ありません。
 日本では疑われる人も含めて死亡者は100人になった。
 まぁ、1/26 のタイムスタンプが入った記事としては少なすぎる数字ですが、これは執筆時点から掲載までの時差のせいでありましょう。
 しかし、1918年の「スペインかぜ」の場合には、2年目の流行でウイルスがさらに毒性を高め、1年目よりも多くの死者をだした。このまま収束するか来年に再登場するのか、予断は許さない状況だ。
 これもまぁ……うーん……てか、「毒性」は「強毒性」とは云うけど「高毒性」とは云わないよねぇ? 何が云いたいんじゃろ。あと、再登場っつー云い方もなんかもやもや。このまま季節性として定着した場合はどう表現なさるおつもりじゃろか。
 最初にメキシコで「新型インフルエンザ」が現れたのは、世界最大の養豚会社である米国の会社が経営する巨大養豚場が発生源だったとみられている。
 ほほう、初耳だ。すいません不勉強で。いや、そういう説は当然あるでしょうが、結論になってたん? 結論でなくて、単に思いついた人が多いという「みられている」だけなら、ほかにもいくらでもあると思いますが……えーと?
 その結果、抗生物質に耐性をもつ新たな病原体が現れる。
 はっはっは。お前、故意にミスリードしてるだろ、やっぱり。抗生物質は「細菌」にのみ関連します。「病原体」は「細菌」や「ウイルス」や「寄生虫」を含みますが、「ウイルス」や「寄生虫」については抗生物質を使おうが使うまいが何も関係ねぇっす。インフルエンザはウイルス感染症です。この記述には、インフルエンザの話題としては何の意味もありません。インフルエンザの話題でないとしたら、上でえんえんとインフルエンザに言及したことには何の意味もありません。
 で、最後はインフルエンザの話題から完全に遊離して、中国の畜産環境についてのアレコレになってシメとなっておりました。
 え?
 あの、タイトルはどこへ?
 まぁ、インフルエンザとは無関係な畜産環境の問題についての結論については、オレには正しいのか間違ってるのかサッパリわからん(間違ってはいなそうな気がしておりますが、なにしろホントにさっぱりわからんのでなんとも云えん)のですが、カンバンはおかしいし、インフルエンザについてはおかしいし、この記事はいったい何なんじゃろうか……?
 いや実際、「畜産革命が「今回の」新型インフルエンザの流行を「もたらした」」という主張には、そうである可能性もあるんじゃねぇの? という程度には納得しないでもないんですが、(ところで、記事タイトルにある「もたした」って何でしょうか?) えーと、どう考えても過去の新型とは定義的に関係ない(「アジアではこの十数年、「畜産革命」と呼ばれるほど家畜の生産が急拡大している」で、そのずっと前から何度も新型が出現してるわけでさぁ)よねぇ……?
 ホント、何なんだろ、この記事……。
2010/01/26 (Tue)
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