深度 、急速潜行~
[日々のいとまに]100114 ~鯨の王~
▼藤崎慎吾「鯨の王」読了。
 本屋の平積みでなんとなく手に取って、思わず買ってしまった一冊。つーか平積みに突如ひっかかるってのもオレにしちゃ珍しいことではあるんですが、大ヒットでありました。
 なんつーか不思議なテイストの作品でもあり、「あーあー、さすが欧米の小説らしい書き方してるなー」とか思って読んでて、ふと我に返って「違うって! これ日本人だって!」とか慌てて直前の印象を打ち消してみたり、なんてコトが何度もありました。妙な話だ。べつに翻訳調の文体だってこともないと思うんだけどねぇ。米国人が米国人らしく(と日本人が感じる)描き方をされてるのに対し、日本人はあまりそうでもない(ってのはべつに日本人の描写がショボいとか云いたいわけでは決してなくて、「我々が日常的に交流する日本人の一般的なライン」からはずれた日本人が大半を占めているからです。むろん米国人も我々が日常的に交流する(ってそんなに多くないけどさ)米国人とは違う世界にいる米国人なんですが、「米国映画とかで見慣れてる」系に近いという云い方が可能な感じであり、むしろ見慣れてるような感触になるという不思議)
 さて、海中の(たぶん)知性ある脅威、ということでは、最近読んだ別の小説がオレ的には即座に思い出されるところであり、どうしてもそちらと比較しながら読んでしまったりも。そちらのタイトルは「深海のYrr」 終わってみれば全然違う話だっちゃあ全然違う話なんですが、読み比べてて、やっぱりなんつーか日本人のバランス感覚というか、欧米感覚(こっちから見ればいろいろと偏って見える)との肌合いの違いはしみじみと感じた次第。どっちが馴染むかっつーともちろん、鯨の王のほうでありました。
 面白さについて云えば、Yrr の序盤から中盤にかけての神がかった仕上がり(あれはマジ異常)には全くもって及んでいないものの、Yrr のラストの「ちょwwwww」加減を思うと、トータル完成度では上、とかそんな感じで。本来比較すべきものでもないものを比較してるこんな感想に意味はたぶんないんだけど、まぁ、そういう気分で読んでたので素直な感想として許してくれい。つーか Yrr の下巻はホントにツラかった。あんだけ面白かった話がなんでこんな……こんなアリサマに……的な意味で。
 トータルで相当素晴らしく面白かったです。
 ただまぁ、とんがった面白さがあったかっつーとそれはまぁ微妙なセンではあるなぁとも思ったところではあります。ホノカとか、どうやっても自動的に猛烈な萌えキャラになりそうなのに、どうやっても実際にはそういう感情は浮かんでこない、とかなんとも不思議! ってかこのへんの「感情喚起されそうなところなのにされない」感触が「欧米の小説らしい」感になってるのかなぁ……?
 あ、ほぼラストの場面の「トドメの一撃」は一瞬「へ?」 となり、それから大爆笑してしまいました。なるほど! よろしい、それでよい!
2010/01/14 (Thu)
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