深度 、急速潜行~
[日々のいとまに]090217 ~グインサーガ 125「ヤーンの選択」~
▼グインサーガ「ヤーンの選択」読了。
 あーあ。
 いやまぁ、全面的にネタバレのため水面下に。
 ここからネタバレ水面下。
 前半三章については、しっかり面白く、おおむね納得で、この先の展開がとても楽しみになる好感触でありました。つーか、「グインとスカールは「これから「初めて」出会うんだよ!」」にはマジ仰天。な、なんだってー! ムチャすぎる。というか、この、明らかにきっちり仕込まれていたムチャさに快哉。素晴らしい。ラプソディの地底旅行もびっくりだよ!
 ナウカシアの話まで出てきて、あーあーそんな話もあったなぁ……ずいぶん遠くまできてしまったな、いろんな意味で……とかしみじみしたりも。
 石の町になってしまったオアシスについては、まぁ文章読んでる段階では、「ずいぶん遠くまで……」とか普通に思った程度だったんですが、挿絵にびっくり。すげぇ立派な城門だ。そんな大量の石、「いったいどこから持ってきたんだ?」とかそんな感じに。
 ちょっと違和感があったのは、ヨナの信仰が「ゆらぎはじめた」的な描き方。これは妙だなぁ。積み重なってきた疑いの「最後の藁の一本」が前巻の事態だった、というのならまったく納得なんですが、これまで(あくまで在家のゆるさを内包しつつも)安定してた信仰に「最初の」動揺を与えた事件になった的な表現だったのにはなんかズレを感じます。最後のひと押しになった、なら、「ヘヴィーな事態だったし、ここまで来てなお信仰を堅持できたら狂人だよ」ぐらいに思えるんですが、最初の一撃としては「おいおい、あのパロの大騒ぎをくぐりぬけてなお健在だった信仰が、たかだかそれしきの惨劇で揺らぐのかよ!?」とむしろ感じちゃうぜ。
 んまぁ、その経緯に違和感はあっても、結果的にそういう心理状態になってるってことに違和感があるわけではないですから、そんなに文句があるわけじゃないですが。
 そしてヤガ突入ですか! ミロク教がいろいろ台風の目ってのはずいぶん初期からちらほらほのめかされてましたが、ついに総本山に! しかもまさかのスカール同道。わはは、こいつは驚いた。んーまぁ、どっかで 13 課みたいなのが暗躍してるって話にしかなりようがないように、現時点では思うわけですが、さて、残り一章。ヤガ突入珍道中へゴウ!
 ……。
 …………。
 ちょwwwwwwwwカwwwメwwwロwwwンwww。
 ……うん、実は、↑の一行で今回の感想終わりでいいんじゃね? とか一瞬思ったぐらいで。
 いやもうなんつーかダメだこいつ(イシュトヴァーン) 有害な混沌。たぶん今すぐ殺しとけばいろいろ平和になるんじゃないでしょうか。うーん、でも、こいつがマトモだったら、ある程度以上幸せな「ゴーラ・パロ二重帝国」が現実的になってしまいかねないわけで、そんなモノを成立させないためには、こいつはもう(物語の都合のために)どんどん脳に何か悪い病原体が巣食ったとしか思えんような破綻へと突進してゆかねばならないということなのかなぁ……。
 マリウス君の混沌は、「もうみんなお互い好き勝手やろうよ!」という混沌であって、迷惑かもしれんけどきちんと自分と他者の均衡が取れてるんだけど、イシュトヴァーンのほうはジャイアニズム的不均衡なのがなんとも痛々しいんだよなぁ……とかなんとか思ってみたりも。で、自分で望んで多くの血を流して切り取った王国を無責任に放り出すイシュトに対する否定的な発言はろくになされず、マリウス君は自分では決して望んだことのなかった王位継承権を盾にボロカスに非難される、というこの権力世襲制の欠陥の対比がまたなんとも。
 んでまぁ、なんともげんなりした気分にはなるわけですが、これでカメロンがそのまま転んじゃってもそれはそれでアリだったろうし、踏みとどまって結局追分ってのもそれはそれでアリだったと思うんだけど、ちょっとこの構成はいただけんなぁという感じに。
 よくまぁそのクリティカルなタイミングで都合よく、「大急ぎではある(一時間遅れたらマズいかな)けど、一分一秒を争うというほどではない(中身は数日以上の情報を総合した報告である)」使者が到着するもんだよなぁ。で、それが決定打か。いやもちろん、「誰かがこのタイミングを仕込んだ」んでしょうけど、そういうのを後回しにして「敵将ナリス討ち取ったりー」とまずやられるとなんか、ただ単純に萎えちまいます。そのヒキは面白くないぞ。一般論としては悪くないと思うけど、栗本薫の作風には向いてない気がする。唐突感ばかりが強くて、次への期待とかなんとかじゃなく、ただぶちっという感じがしてしまってなぁ……。過去にはホント、ナリスの(最後の)擬死のときぐらいだったと思うんだけどね、この形のヒキって。
 栗本薫のやり方なら、ひたすらカメロンの日々を綴って、最後の一行で「イシュトヴァーンが少数の手勢だけ引き連れて出発しちゃったよ!」「な、なんだってー!」とやるか、直前までホントにグラグラ揺れて、「――と云おうとしたのか/――と云おうとしたのか」で使者が到着したところでヒキ、とか、もう少し進んで使者が決定的な内容を報告する台詞が終わったところでヒキ、とか、そういうのならとてもしっくりくるし、次への期待が高まるところだったと思うのですが、そのさらに一手(しかも一手だけ)先まで書いてヒキ、は……これは……オレにはいただけねぇぜ……?
 宙吊り感は確かにあるけど、先が楽しみになる宙吊り感ではないなぁ、オレ的には。
 ま、125 冊とかいう非現実的な数字になってるこの作品で、たかだか一冊のヒキにギャースカ云うのもアレなんで、こんくらいで。
 そして、各地でみなさまの感想を見て、初めて「七人の魔道師」に直接つながる展開なんだということを知った間抜けっぷりでございました。てか、云われても思い出せねぇ有様。ナウカシアとかむしろ端役なキャラは覚えてたのにね! うむ、偏ってるな。
2009/02/17 (Tue)
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