深度 、急速潜行~
▼「深海の Yrr」中巻読了。
 ってか、上下巻だと思って読み始めてたわけですが、三冊だったとは。
 長いこと自体は喜ばしいことです。が、それで冗長になられても困るがなぁ……とか思ってたわけですが、しっかり高密度で満足。上々。
 んまぁしかし、各章の中身は素晴らしい密度なんですが、章と章の間が、なんというか、「それから一年」みたいに飛びまくりがちなのはなんだかちょっとウーンという気もするんだよにゃー。いや、とてもよくあるパターンなので、それが気に食わないとか思ってるほうが異端なんだとは思いますが。
 以下、ネタバレのため水面下へ。
 ここからネタバレ水面下。
 いやー、まさかねー。
 ルン死んじゃうとか予想外ですがな! さっすが欧米、容赦ねぇ。というか、惜しげもねぇというか、愕然。これ最後、カレシと合流できてようが最後の鍵問題がなかろうが結局助からねぇだろ。ってか、たぶんカレシも死んでるっつーか続報なしというのもすげぇ。丁寧に丁寧に積み上げてあっさり殺して以降のフォローなし(シグルに与えた心理的影響はあるにせよ) うーむ。カッケェ。こういうぶった切り感って、上述の通り、好きか嫌いかといえば、好きじゃあないんですが、まぁ、けっこうあるんだよねー。日本の作品ですが、これ系で印象に残ってるのはアルファオメガとか傀儡后とかあたり。なんか、それ以前にいろいろ悩んだりがんばったりしたことどもはどうでもよかったのかよ、とかそういう感じがしてもにょもにょと。いやまぁ、ちょっとひっかかるって程度ではありますけど。
 そして、あんだけ「こいつはヤベェぞ気をつけろ」という伏線が張られまくっていたリーのもとに全員集合という展開にもびびり。うひー。まぁしかし、お互いに全然気を許してない(ってまぁ全員じゃないけど少なくともシグルあたりは)状態で呉越同舟というのもなかなか熱いものではありました。
 さらには、美味いステーキを食いに行く反捕鯨御一行という、我々なんぞから見ればなかなかに皮肉の効いたナイス場面もあったりしてニヤニヤしてみたり。なんつーか、こういうの疑問ないんだろうかな、連中は。とはいっても、そういう腐れ反捕鯨ピープルっぽいのはリシアだけで、アナワクは保護屋の立場と同時に伝統的捕鯨民族でもある出自との折り合いもきちんとつけるエピソードが入ってるし、灰狼選手については「もう俺の前でクジラやイルカを傷つけるんじゃねぇ!」ってところに到達してしまわなければならなかった背景とかも描写してるわけであり、(そういう、灰狼が体験したような形でクジラやイルカを「食い物にする」のは反捕鯨的な方向に突進しがちなバックグラウンドの連中に特有であり、我々を含む、よりプリミティブに鯨を捕ったり食ったりしてた連中とはかなり異質なわけですが)話としてはスジは通ってるのかなぁとは思うわけですが。
 んでまぁ、「天使でも悪魔でもない異知性体を人類は想像したことがない」みたいな云い方は、それはさすがにないんじゃないかなぁとも思ったわけでした。お前ら、クトゥルフ神話も知らんのか、とか。ただ、あれもあれで「人類の敵でも味方でもない。何せ連中からしてみりゃ人類なんぞ眼中ない」という異質さであったわけで、人類よりたぶんちょっと優れてて、善でも邪悪でもない、けど、人類と殲滅戦を繰り広げなければならないぐらいに弱くて敵意がある知性体、とかそういう感じの「Yrr」みたいなのは確かにちょっと馴染みがないものなのかなぁとも思い直した次第。
 お話の半分の時点でけっこう世界が滅びてしまって、さて、いったいこれどうケリつける気なんだ? っつーかこれどうやっても滅びるしかないんじゃ? みたいな感じになってきたところで中巻終了。残り一冊が楽しみです。
 なんせ、あのルンがあっさり死んじゃうぐらいだからなー。メインっぽい人々もまるで予断を許さないわけで、ドキドキでございますよ。
2008/09/21 (Sun)
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