深度 、急速潜行~
▼「ナイチンゲールの沈黙」読了。
 いやーおもしれぇ。
 全面ネタバレのため水面下へ。
 ここからネタバレ水面下。
 まぁ、正直なトコ、さすがにバチスタには及ばないかなぁという感じではありました。といっても、減点かといえばそうでもなくて、バチスタでは単なるほのめかし言及にすぎなかったような伏線やらに、長期シリーズ化をきちんと考えて触れることを開始したことで、それ自体としての完成感が若干犠牲になったかも、という気もしなくもない、という程度のことですが。つーか、バチスタから間を置かずに出たというこの二作目にして、枚数と「一本の作品としての完成度」とシリーズ設定の仕込みをこれだけきっちり折り合わせるって、たいした技量ですな。
 事件そのものは、バチスタが医療そのものに根っこのあるサァースペンスだったのに対し、今回は舞台および関係者がそこに根っこを持ってるものの、事件じたいはより一般社会寄りのものであり、その点には物足りなさを感じないではないのですが、まぁ、それに裏付けられた病院側での盛り上がりが上々なのでよしとしときます。
 音屋(系のしっぽ)としては、あの超常音楽の描写は爽快なような不快なような微妙なところ。結局「聴覚に導かれる視覚」なんじゃあ、音は従でヴィジュアルが主かい、とかそんな感じもちょっとしてしまったりするわけですが、これはオレの感性のほうがおかしいんだろうな。むしろ、どちらかといえば視覚情報から音楽が導き出されるような感覚のほうが馴染み深いのではありますが。ムソルグスキーが「展覧会の絵」を書いたぜ、とかそういう。とはいえ、そんなオレでも「バーバヤーガの小屋」あたりはどうやっても「決戦! 大魔道師バーバヤーガ」なヴィジュアル(というかむしろストーリィ)が脳内に喚起されてしまうあたりはやはり双方向なのか。
 んーまぁ、超常音楽が証拠になるようなつくりだとありえんわけですが、「証拠を見出すヒント」なわけで、このあたりはライン際疾走ですかね。
 ナイチンゲールのマルチミーニングは見事。というかたぶんむしろそっちが出発点になって話を組んだんじゃないかという気も。そう考えるほうが自然だなこれ。
 瑞人選手はそのうち屋上で「普通でいいと思うぜ」とかやるべし。ってか、明らかに今後のシリーズで重要な位置に来るぜぇーと宣言してるような気がするような気もするのですが。白鳥が提示した診断に対する疑義については結論が出てないあたりも意図的に引っ張ってる感アリアリだし。
 由紀はまぁ、なんだ。ずるい。抵抗不能。死ぬ。つーかこれ医者が書くのかよ! とかそんな感じのド正面からの狙撃っぷり。これは明らかに歌われるべきは「青空」だよな。
 で、まぁ話としてはきれいに(あるいは普通に)まとまったかねぇ、というところできっちりローフルモンスターこと白鳥の無駄な棘がひっかかってイイ感じに余韻が残る、と。余韻というか、診断に対する疑義もそうですが、白鳥の今回の役割ってもしかして、この事件および今巻からの登場人物が以降に及ぼしてく影響なり波紋なりを予言しておくことだったんじゃねぇのか?
 さっさと次も文庫にしれ! ということでひとつ!
2008/09/15 (Mon)
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