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   深度 、急速潜行~
▼「Rosalond franklin, The Dark Lady of DNA」読了。
 いやぁ。
 幼年期は萌えキャラ。
 長じてからは燃えキャラ。
 なんつーか、エドウィン・フィッシャーのように正確に働き、ヤン・ウェンリーのように結果を出し、ラインハルトのように死んだ、という感じで、カッコよすぎてヤバいです。何なんだこいつ。こんなのが実在し得た時代、なんですな……(カッコよさの中に、時代ゆえの逆境に起因してるものがけっこうあるので)
 あまりにもカッコよすぎるので、もうなんつーか、実在した人物の記録というよりも、フィクションの物語みたいな感覚で読んでしまい、最期が近づいてくるともうヤンやラインハルトの最期を見るような気分で泣けてきて参った。うむ、高かったが、読んでよかった、これは。
 失礼と知りつつ、実在の人物に、フィクションの小説に対するような感想を書きます。ネタバレっちゃネタバレだけど、実在人物だからいいよな。
 ラスト付近の盛り上がりがとにかく異常。それこそフィクションの小説みたいな劇的な展開。しかも、生物物理学者である彼女の活躍の軌跡が、なんと我が専門分野である感染症分野に交差し(晩年の研究分野は「あの」タバコモザイクヴァイラスの構造決定! そしてなんとポリオヴァイラスにまで手を出してたって!)いよいよ親近感が!
 死の三年前の夏のドン・キャスパーとの出会い(ロザリンドに反感を買うことなく、彼女を「ロズ」などと呼ぶことを許されたのはかれだけだった)→翌年六月、アメリカに旅立つ前の健康診断「仕事上、放射能を浴びる危険がある人間に課せられたお決まりの検査である。何も問題は見つからなかった」→その直後の発症「その日が、ロザリンドにとって平和だった最後の日かもしれない。カリフォルニア滞在中のどこかで下腹部の鋭い痛みに襲われたのだ」→それまでろくに(恋愛対象としての)男性の影さえなかったロザリンドがドン・キャスパーについて語った言葉「愛情を抱き、結婚さえしていたかもしれない」→帰国後に母親に告げられた言葉「娘さんはがんです(下線部は本来傍点)」→「前年の夏にアメリカで、愛し、あるいは結婚していたかもしれない男性に出会ったが、病気になったので忘れることにした」
 「何そのギャルゲー」的な筋だけ抜き出してみましたが、何と云うべきなんだ、これは。
 その他、熱いポイントをいくつか。 
 レイモンド・ゴズリングとアーロン・クルーグがその代表ですが、敵の多い彼女の人生においてキルヒアイスの役割を果たした男たちのカッコよさ。
 ラスト 2 章の章題も有り得ない熱さ。「Private Health, Public Health」ってなぁ。子供のころから、偉人の伝記みたいなものは、それなりに読んではいたけど、その中で唯一、強烈なインパクトをもって覚えている野口英世の晩年をついつい連想しちまったよ、これ。で、最終章「Clarity and Perfection」 言葉も出ねぇ。いや、これについては実験科学者を少なくとも志したことがあればこその感慨かもしれませんけど。
 ……いかんな、自分の志した分野にも深くかかわった実在の人物で、かつ、その生涯は小説をも超えるほどに劇的。いろいろと感情が波立ちすぎて感想もうまく書けん。
 とにかく熱かった、ということで。
 実在した人物に対して、オレはこれ以上の賛辞を持ち合わせておりません。
2007/07/01 (Sun)
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